猫と萌えがあればいい?

いい加減おばさんに片足つっこんでる私の萌えと猫と日常。ゲームもアニメも大好き。アイドルマスターは765も876も346も315もみんなまとめて大好き。あとは刀剣乱舞その他もろもろ。真っ白な愛猫が現実を支えてる毎日。

映画「MOTHER」感想 ネタバレあり。

映画を観たくなったのです。
あの作品がみたいとかじゃなくて映画館で映画をみるという行為がしたかった。
しばらく行けてなかったし次に行きたいと思ってる映画はまだ先だし…暑いし日曜日で人はいっぱいだし…

という曖昧な理由で映画を見ることにしました
リバイバルでもいい、ジブリでもなんでも…ただ時間が合えば…

そこで調べて目に止まったのがMOTHERでした。

主演は長澤まさみさん
長澤まさみさんってわたしが今住んでるところの近くにご実家があるいわゆる地元の有名人
実は私1度だけお見かけしたことがあるんです
オープンしたてのホームセンターに御家族らしき方といらしてて遠目からでも輝く美貌と意外と大騒ぎにならず普通にお買い物して帰ったらしいことにびっくりしたのでした
まだ長澤まさみちゃんって感じだったのに母親役なんだ…

久しぶりの映画館はいつも通りの甘い香りでなんか懐かしいし落ち着くなーなんて思いながら鑑賞スタートです

当たり前ですが前情報は主演が長澤まさみさんで母親役ってことのみです。

ここから盛大にネタバレしていきますのでご注意下さい!
書き終えてここに付け足しますがネタバレというより全バレ
あらすじ全部書いてますのでこれからちょっとでも観ようかなって思ってる方は読んだらダメ、絶対。



この映画は2017年埼玉県川口市で起きた孫が実の祖父母を殺害した事件をモチーフにしたものです。

その事件自体をわたしは覚えていませんでしたが似た事件が多くてそれに紛れてしまっていたのかもしれません。

映画は事実とは違う部分もありますが事件に至る大筋の流れは事実とは大きくは異ならないようです。

重ねて言うと私は映画を見ている時点でこの映画がその事件をモチーフにしているということも知りませんでした…
知っていたらみていなかったでしょう
私は子供が不幸になる事件を聞くことがとても苦手なのです
子供時代を不幸せに過ごした人はおそらく誰でもそうなのではないかと思うのですがどうなんでしょう

子供というのは無力です
大人に頼らなければ生きていけない
自分の力ではどうにもできないことが多すぎる
まして親や保護者がその不幸の元凶ならば尚更

子供時代に戻りたいなんて1度も思わないし自力で頑張れば大抵の事はどうにかできる大人になれてよかったと私は常日頃思うのです

さて冒頭、泣きながらとぼとぼと歩くランドセルを背負った少年と対照的自転車で元気に坂を降りてくる母親。
転んで擦りむいた少年の膝をべろりと躊躇なく舐める母親にもしかしてこれはマザコン的な話なのか?という考えはすぐに消えます

自転車で軽快に走り出す母親と慌ててその後を追う少年

自転車は所謂ママチャリではなく子供が乗れるようなスペースはありません
子供が小学生でもう乗せられないにしても普通なら母親は自転車を降りてなんならランドセルを自転車にのせてあげて一緒に歩くのが当たり前の光景かと思うのですが下り坂を勢いよく降りていく母親を必死で追う少年がまた転びそうでハラハラさせられます

そして学校と仕事をサボったふたりは市民プールへ
飛び込み禁止のプールに思い切り飛び込んで注意された母親はプールサイドの息子にも飛び込むように促します
注意されたとこを見ている少年は躊躇いながらも結局母親に従います
監視員の注意する声に耳を貸さず息子に悪戯っぽく笑いかける母親
少年も笑顔をみせます
お母さんが笑ってくれたことが嬉しいのだとよく伝わる笑顔
この一連の流れが今後にずーーーーっとつながっていくのです

ここからしばらく子供の事件が苦手でしょうがない私には辛い時間が続きます
ネグレクト、虐待…
母子家庭の家は荒れ放題で少年は学校にも行かず延々とテレビゲームをしています
後に事件となる祖父母の家にも何度もお金を無心し母親の妹にも散々怒られるのですが全く懲りない様子
とにかく延々と少年が可哀想な状況になっていくのをみることになります。
夜中に使いっ走りなどは序の口
見知らぬ男と母親との性交を見せられる聞かされるのは1度や2度じゃなく祖父母や叔母へのお金のむしんへも母親は途中の神社でお腹が痛いとか言い出して少年1人でいかされたりするのです

この後この少年に殺される祖父母ですがそれでもかなりのお金をこの母親に渡していたようです
特に祖父はつい可哀想になるのか財布をすぐとりだしてしまう
ある日ついに限界を迎えた祖母は少年に向かってもううんざりだ顔も見たくない二度とくるなと怒鳴りつけます
本来なら実の娘である少年の母親に直接言わなければいけない言葉をこの祖母は娘には言えない

少年はこうしていつも自分が1ミリも悪くないことで責められたり冷たい目で見られたりするのです

所々救いの手は差し伸べられるのです
実の父はきちんと毎月5万の養育費を振り込んでくれているし少年が母親に言われてお金をむしんしにいくとお財布からできる限りのお金を出してくれて伸び放題の少年の髪を心配し抱きしめてお父さんのところにおいでといってくれる

妹(母親が産んだ無戸籍の妹)と3人路上生活しているときには市か県の福祉の方々が住む所を提供しフリースクールに通い勉強の楽しさを知る

ある程度成長し住み込みで働き出した職場の社長が良い人で彼自身は何も悪くない悪いのは母親だと怒ってくれる

何れの時も少年自身が母親を捨て切れば少年には真っ当な未来があったかもしれない
父親のときはまだ小さい子供だったけれど他の2つのケースは彼自身も抵抗したり残りたいと言ったりするのに
結局少年は母親に着いていってしまう

そしてとうとう母親はお金を無心する時と同じような調子で少年に言うのです

ちょっと殺してきてくれない?
そしたらお金も手に入るし
できないと妹も可哀想
できるの?できないの?


この母親のめちゃくちゃながら凄いところはこんなにお金をせびったりするくせに自分ではまっっっったく働かないこと
お金をせびるくらいなら自分で働いた方が断然マシだと大抵の人は思うはずなんだけどこの人はぜっっったい働かない
そのくせギャンブルするしお酒もタバコもするしスマホももつ
じゃあお金を持ってる男性に媚び売って着いてくかといえばそうでもない
少年の父親はお金持ちというほどではないけどちゃんとしたサラリーマンだし途中登場した少年を雇ってくれた社長は奥さんが亡くなっていて新築まっさらな家に一人暮らし
仕事もそれなりに順調そう
この母親、頼りになりそうな男にはだいたい抱かれるというか抱かせるのでこの社長もしっかり落としてるにもかかわらず結局どーしよーもない元ホストのとこに行ってしまう
自分のしたいようにするしめんどくさいことはお金が絡んでてもしない
生活保護も児童手当も生活に干渉されるのが嫌で放棄してるっぽいしその場その場の感情だけで突き進んでいく

印象的なシーンの中にその情に厚い社長が料理を振舞ってくれてそれを母親が手伝う所があってじゃがいもの芽と皮をちゃんと包丁でむける
意外に手際もいい
社長も最初 この女料理なんかできるのか?みたいな目で見てるのがそれをみてほっとした顔になる
私もなった
だって少年が小学低学年くらい?から働けるようになるまで見守ってきて料理するシーンが一回もないんですから
子供育ててそんなことある?

でもこれってあの祖母が仕込んだのでは?と思ったのです
この娘は頭も良くないし享楽的だし結婚して家に入るしかないだろうからって料理とかちゃんとおしえたんじゃないのかな?
そう思うととても辛い…いや、もう映画始まってからずっと辛い…

さて
ちょっと殺してきてと言われた息子はそれを強く否定することなく結局頷きます

久しぶりに祖父母の家へ行くと彼らはすぐに彼が孫だと気づき優しく迎え入れてくれます
夕飯を食べていくようにと言ってくれて優しく近況を聞いてくれるのです

それでも少年は彼らを殺しました

そしてほんの僅かな金目のものを奪いそれもすぐに使い果たしてしまうのです


ところで主演の長澤まさみさん
いつまにかこんな凄みのある中年をやれるようになったのでしょうか
この映画は全てが真実ではないと最初にも書きましたがこの真実じゃない部分って長澤まさみさんの美貌なのでは?
とにかく男がばんばん落ちてく
それも仕方ないと思うような濃厚な色香が伝わってくるのです
若い女の子とは真逆の一歩間違えたら臭いと思われるような濃い匂い
目を伏せて髪を指先で弄びちらっと上目遣いでみただけなのに全身で誘ってるのが解る
仕事が嫌でもこれだけ美しければホステスさんとかできるのでは?と思ったけど多分お客さんやら黒服誰彼構わず抱かせるしそれを悪いとも思わないだろうから他のホステスさんと喧嘩になるだろうしまぁ無理だろうな…って思わせるくらい凄かった

そして少年役の奥平大兼さん
初めて知った俳優さんですが目が印象的でした
藤原竜也さんの若い頃みたいな
16歳とは思えない達観した表情がとてもよかったです

さて捕まった彼を周りの真っ当な大人たちはなんとか救おうとします
今まで出会ってきた善意ある人達は彼の真面目さや理不尽な目にあってきたことを証言してくれたのでしょう
彼を救うべく涙ながらに問いかけます

母親に指示されて殺したんだよね?

しかし彼はそれを否定し自分の意志でやったと言い張ります

そして当の母親はしれっと自分は指示してない息子が勝手にやったことだと話します

更には

仮に指示したとしてその証拠はあるのか?
と笑い

もし指示したとしてもそれのなにが悪い
私が産んだ子供を私がどうしようと私の勝手だと勝ち誇った表情さえみせるのです

私は精神病のことなどはあまり詳しくないので素人の勝手な憶測ですがこの母親は少年を自分自身の1部だと本気で思っているのではないでしょうか?
自分の嫌なこと(労働、娘の育児、金の無心など)を請け負ってくれる都合のいい自分
だから自分の言いなりになるのは当たり前
罪悪感なんて感じるはずもない
だってあの子は私なんだから。

結局少年の意見が通り刑は確定します

母親は懲役4年6ヶ月
少年は最初こそ無期懲役を求刑されていたものの懲役15年

15年…この重さに頭が痛くなった
けれどもしかしたら彼にとっては幸せかもしれない
今までの辛い辛い生活に比べれば…

ラスト
刑が確定し刑務所に入った彼に以前フリースクールなどを勧めて本や勉強の楽しさを教えてくれた福祉の若い女性が面会にやってくる
案の定、今の方が楽しいなどと話して女性を唖然とさせる
どうして?どうしてお母さんを庇うの?
映画を見ているだれもが聞きたいと思ってた質問に少年は自嘲しながら答える

母が好きだから
母親が好きなことってそんなに悪いことですか?

彼はどうやら低学年の頃はイジメにもあっていた様子だし途中からは全く学校にも通っていない
フリースクールもほんの短い期間しかかよっていない
他者と交わらない閉ざされた世界で母親としか繋がりがない
母親はすぐにふらふら男のところに行ってしまう

自分の方を見て笑って欲しい

冒頭のプールのシーン
監視員という名の世間の人が違反を咎めてもそれを破れと促す母親
そしてそれに従えば満足そうに笑ってくれる母親

世界の中心であり全てだった人に笑ってて欲しい

ただそれだけだったのかなぁと思います

見終わったあとどっと疲れました

物凄い後味の悪さ…

映画館をでてすぐさま調べてみたところ少年は妹が母親に搾取されるのではと心配しているそうです

どうかどうかそんなことにはなりませんように…

以前このblogにも書いた通り私は親に捨てられて高校まで施設で育ちました
毎日毎日施設から出ることしか考えてなかったし学校や友人には恵まれてたけど施設では寮母から暴力やイジメにもあってたし施設でてからも両親の元で育ってたらもっと良い人生だったんじゃないかって思ってたけど世の中には毒親といわれる親がいて必ずしも家庭が幸せってわけでもないことを知りました
この母親は毒なんて生易しいもんじゃなかったけども。

実は映画見たのが7月19日で結構前なのにまだ時々頭に浮かんでは胸を締め付けてくるので吐き出したくて長々書きました

このモヤモヤが少しでも収まればいいな

次はFate観よう…